COLUMN — 実写×AI

実写×AIの動画制作。
顔を出せない・素材がないときの作り方

2026.09.13 / 株式会社Atacama

「この子に出てもらいたいんですけど、正直、来年いるかわからなくて」 「そもそも、出たがる人がいないんです」 採用動画の打ち合わせで、この2つは本当によく聞きます。 そのとき当社がよくする提案が、AIで顔を少しだけ変えるという方法です。

実写×AIの動画制作とは、撮影した実写の映像を土台にして、 顔の加工や足りない素材の生成をAIで補う作り方です。 全部をAIで作るのではなく、本物の空気は実写で、出せないところだけAIで。 この組み合わせで、これまで「うちは無理」と諦められていた動画が作れるようになりました。

採用動画で「顔を出せない」が起きる理由は?

理由は大きく2つで、どちらも会社の努力で消せるものではありません。

1つ目は退職のリスクです。 動画に出た社員が半年後に辞めると、その動画は下げるか作り直すかになります。 中小企業ほど「出せる人」が限られているので、 いちばん出てほしい人ほど、辞めたときの影響も大きい。 社長がためらうのは当然です。

2つ目は本人が出たくないこと。 SNSに顔が残るのが嫌、家族に見られたくない、前職の人に知られたくない。 理由はさまざまですが、無理に出てもらった顔は画面に出ます。 求職者はそこを見抜きます。

従来の対処は、限定公開にするか、後ろ姿と手元で構成するかでした。 これは今も有効で、 社員が顔出しを嫌がるときの3つの始め方にまとめています。 ただ、それでも「人の顔がある動画」のほうが強い場面はあります。 面接前に送る動画や、社員インタビューがそうです。 そこで出てくるのが、AIで顔を少し変える選択肢です。

AIで「顔を少し変える」とは、何をする?

やることはシンプルです。 本人の動き・表情・声・話している内容・背景の現場は、実写のまま。 顔の造作だけを、本人と特定されない程度に変えます。

ここで大事なのは「別人のCGにする」のではないことです。 笑うタイミングも、言葉に詰まる間も、手の動きも、全部本人のものが残ります。 だから動画の空気は変わりません。 見る側は「この会社にはこういう人がいるんだな」と受け取ります。 それが実在の誰かと結びつかないだけです。

この方法だと、2つの壁が同時に低くなります。 退職しても動画を下げなくていい。 本人も「自分だと分からないなら」と、出てくれることが増えます。 実際、打ち合わせでこの提案をすると、 それまで「無理です」だった空気が「それなら」に変わることがよくあります。

実写とAIは、どう組み合わせる?

当社の考え方は一貫していて、実写が土台、AIは「撮れないもの」を補う道具です。 使いどころは主に3つあります。

  • ①顔の加工。上に書いたとおり。インタビューや一日密着のように、人が主役の動画で使います
  • ②撮れない場面の補完。機密で映せない工程、まだ完成していない新店舗や設備、撮影の季節が合わない屋外の風景。実写で撮れないカットだけを生成して、実写の流れの中に置きます
  • ③イメージカットの生成。会社の方向性や理念を語る場面で、実写だと説明的になりすぎるところを、イメージ映像で受けます

逆に、全部をAIで作ることはおすすめしていません。 求職者が見たいのは御社の本物の空気で、 全部AIで作った動画は「どこの会社でもない動画」になります。 きれいなのに、何も伝わらない。これがいちばんもったいないパターンです。

写真も動画も、ほとんど外に出せない会社はどうする?

「そもそも撮れるものがない」というご相談も増えています。 工場の中は機密だらけ、医療や介護は利用者さんのプライバシーがある、 建設現場は安全上カメラを入れにくい、BtoBで取引先の名前も製品も出せない。 こういう会社は、これまで採用動画そのものを諦めていました。

いまは、撮れる部分は撮って、出せない部分をAIで生成して補うことができます。 たとえば工場なら、社員の表情や休憩室の空気は実写で撮り、 映せないラインの様子は「こういう工程がある」と伝わる程度の生成映像で受ける。 当社では、動画生成を専門にするクリエイターがこの部分を担当し、 実写のトーンに合わせて仕上げています。

ただし、線引きははっきりしています。 実在しない社屋や、いない社員を「本物のように」作ることはしません。 AIは撮れないものを補うためであって、無いものをあるように見せるためではありません。 採用でそれをやると、入社後に必ずギャップになります。

AIで作ったことは、伝えたほうがいい?

伝えたほうがいいです。理由は2つあります。

1つ目はプラットフォームのルールです。 YouTubeは、実在の人物や場所を改変・生成したリアルな映像について、 投稿時に「改変または合成されたコンテンツ」であることの開示を求めています。 リアルな映像では動画プレーヤー上にラベルが表示され、 意図的に開示を怠り続けると、コンテンツの削除などのペナルティの対象になります (出典: YouTubeヘルプ「生成 AI コンテンツの使用に関する開示」)。 なお、美顔フィルタや色調整のような軽い加工は対象外です。 「顔を少し変える」がどちらに当たるかは程度によるので、 当社は開示する前提で作ることにしています。

2つ目は、採用が信頼の商売だということです。 いまの求職者は、入社前に会社のことを徹底的に調べます。 隠していたことが後から分かるのが、いちばん信頼を失います。 逆に「出演者の顔はAIで加工しています」と一文添えてある動画は、 「この会社は隠さないんだな」というメッセージになります。 正直さが伝わるなら、AIを使っていることはマイナスではありません。

費用はどのくらいかかる?

土台は実写の採用動画なので、 採用動画の料金プラン(ライト15万円〜、スタンダード35万〜70万円、いずれも税別)が基準になります。 そこに、顔の加工の人数や、生成するカットの本数に応じてAIの工数が加わります。 「顔の加工1人だけ」と「工場の工程を10カット生成」では、まったく違う金額になるので、 一律の料金表は作っていません。

「うちの場合、実写でどこまで撮れて、AIでどこを補うことになる?」を 整理するところからご一緒しています。ぜひ一度お問い合わせください。

よくある質問

Q. AIで変えた顔は、不自然になりませんか?
本人の動きと声はそのままなので、CGのような不自然さは出にくいです。ただし極端に暗い場面や、顔が小さくしか映らない引きの画では精度が落ちます。撮影の段階からAI加工を前提に画を作るのが、いちばんきれいに仕上がります。

Q. 全部AIで作ってもらえますか?
技術的にはできますが、採用動画ではおすすめしていません。本物の空気が消えて「どこの会社でもない動画」になるためです。実写を土台に、撮れないところだけ補う形を基本にしています。

Q. 出演した社員が退職したら?
顔を加工していれば、そのまま使い続けられるケースが多いです。加工なしの場合は承諾書で退職後の扱いを決めておき、必要なら該当カットだけ差し替えます。

まとめ: 「出せない」で止まっている動画はありませんか

「出てくれる人がいないから」「撮れるものがないから」。 この理由で止まっていた採用動画があるなら、一度だけ考え直してみてください。 実写で撮れるものは何で、撮れないものは何か。 撮れないもののリストが出せれば、そこがAIの出番です。 質問の設計や当日の進め方は 社員インタビュー動画の作り方と同じです。 顔を変えるかどうかで、撮り方は変わりません。

文: 株式会社Atacama 代表取締役 阪口直哉(採用プラットフォーム出身。マーケティング・営業を経て映像制作へ)

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