COLUMN — 採用動画の見え方
かっこいい採用動画は応募につながる?
演出より先に決めること
2026.09.29 / 株式会社Atacama
ドローンで社屋を空から撮り、スローモーションの手元に、盛り上がるBGM。 「採用動画 かっこいい」で探すと、そんな映像がたくさん出てきます。 自社でもこういう1本を、と考える方は多いと思います。
私たちの考えはこうです。かっこよさは、見てもらう入口としては効きます。 ただ、応募の決め手にはなりにくい。 決め手になるのは、そこで働く人と、仕事の中身が伝わるかどうかです。 かっこよさを否定するのではなく、使う順番の話として書いていきます。
求職者は、採用動画の「かっこよさ」をどれくらい見ている?
参考になる調査があります。合同会社アルチが2025年5月に行った 採用動画の影響調査 (採用動画を見たことがある20代の就職・転職経験者361名)です。 「志望度が高まった採用動画には、どんな特徴がありましたか」という質問(複数回答)に対する答えは、次のとおりでした。
| 志望度が高まった動画の特徴 | 割合 |
|---|---|
| 働く社員のリアルな声があった | 38.0% |
| 職場の雰囲気や空気感がリアルだった | 37.4% |
| 社員の表情や人柄が自然に伝わってきた | 34.9% |
| 映像のセンスの良さ | 19.1% |
| 音楽・ナレーションの印象 | 16.6% |
映像のセンスを挙げた人も、5人に1人はいます。ゼロではありません。 ただ、上の3つとは倍近い差があります。 求職者が動画で確かめたいのは、「この会社で働く自分」を想像できるかどうかなのだと思います。
かっこいい採用動画が効くのは、どんなとき?
かっこよさがちゃんと仕事をする場面は、はっきりあります。私たちは3つだと考えています。
1つ目は、知らない人に止まってもらう入口です。 SNSのショート動画は、最初の1〜2秒で見るかどうかが決まります。 ここで目を引く画があるのは、素直に強い。 会社を知ってもらう段階では、かっこよさは武器になります。
2つ目は、実際の職場がそのまま絵になる会社です。 大型の機械が動く工場、夜明けの現場、デザインにこだわった店舗。 もともとかっこいいものを、そのままかっこよく撮るのは盛りではありません。 実態と映像のトーンが合っていれば、それ自体が正直な情報になります。
3つ目は、社員さんが誇りに思える1本です。 自分の職場がきれいに撮られた映像は、社員さん自身がうれしいものです。 知り合いに見せたくなり、そこから紹介につながることもあります。
かっこよさだけの採用動画は、どこでつまずく?
つまずき方は、だいたい2つに分かれます。
1つは、人の顔が見えなくなることです。 空撮、シルエット、手元のアップ。どれもきれいですが、誰が働いているのかは分かりません。 見終わった後に「雰囲気のいい会社だった」は残っても、 「あの人と一緒に働けそう」は残りにくいのです。
もう1つは、入社後のギャップです。 映像の中の職場と実際の職場が違うと、応募は増えても、入社してから「聞いていた話と違う」になります。 求職者が本当に知りたいのは、どんな服装で、どんな人がいて、どんな毎日で、どんなしんどさがあるのか。 しんどいことも、先に分かっていれば不安にはなりません。 むしろ知らされていないことのほうが、ずっと怖いものです。 この考え方は一日密着の採用動画とはで詳しく書いています。
かっこよさとリアルは、両立できる?
できます。分けて考えたいのは、「整える」と「盛る」の違いです。
| 整える(やっていい) | 盛る(避けたい) | |
|---|---|---|
| 光と音 | 照明を足す、マイクで声をきれいに録る | 実際より明るく広い職場に見せる |
| 人 | ふだんの服装のまま、表情がいい瞬間を選ぶ | その日だけの制服、いない人数を集める |
| 仕事 | 実際の工程を、見やすい角度で撮る | ふだんやらない作業を撮影用に演じる |
| 言葉 | 本人の言葉を、短く編集する | 台本の言葉を言わせる |
左側は、どれだけやっても嘘になりません。むしろ、やったほうが見てもらえます。 聞き取りにくい声や暗い映像は、中身がよくても途中で閉じられてしまうからです。
撮り方の工夫でいうと、きれいな画ほど「誰の」画かを先に伝えるのがコツです。 たとえばスローモーションの手元を使うなら、その前にその人の顔と名前を出しておく。 すると同じ手元の映像が、雰囲気の画から「◯◯さんの仕事」に変わります。 ドローンや空撮も、最初に数秒あれば十分です。
どこまでかっこよくするかは、どう決める?
決め方は、動画を置く場所から逆算するのがいちばん確実です。
SNSのショート動画や合同説明会のループ映像のように、まだ会社を知らない人に見てもらうものは、 入口のかっこよさに少し寄せてもかまいません。 続け方は採用ショート動画の始め方にまとめています。
採用サイトや面接前に見てもらう本編は、もう応募を考えている人が見るものです。 ここは人と仕事の中身を優先してください。 構成の組み方は会社紹介動画の構成テンプレートが参考になると思います。
そして公開前に、ぜひ一度やってほしい確認があります。 動画に映っていない社員さんに見てもらうことです。 「これ、うちの会社?」と言われたら盛りすぎ。 「うちだね。ちょっとかっこいいけど」と言われたら、ちょうどいいところです。
私たちアタカマは、人を撮る映像制作会社です。 会社の魅力も課題も、そこで働く人を通して伝えるのがいちばん届くと考えています。 かっこよさは、その人がいちばんいい顔をしている瞬間に、自然とついてくるものだと思っています。
費用はどのくらい?
当社の価格です。すべて税別で、交通費は実費のみ別途です。 一般的な採用動画の相場は30万〜120万円(税別)ほどです。
- 5万円〜 — 撮影済み素材の編集、シンプルなショート動画
- 15万円〜 — 社員インタビュー+仕事風景(完成尺1〜2分、撮影2〜4時間)
- 35万〜70万円 — 会社紹介動画(完成尺3〜6分、撮影3〜6時間)
ドローンや特殊な機材を足すと、そのぶん費用は上がります。 どこまで入れるかは、置き場所と予算に合わせて一緒に決めますので、ぜひ一度お問い合わせください。 費用の内訳は採用動画の費用相場で詳しく書いています。
よくある質問
Q. かっこいい採用動画とおしゃれな採用動画は、何が違いますか?
考え方はほぼ同じです。どちらも映像の見え方の話で、応募の決め手になるのは、映っている人と仕事の中身です。見え方は、中身を決めてから選ぶのがおすすめです。
Q. ドローン撮影は入れたほうがいいですか?
敷地の広さや現場の規模そのものが魅力の会社なら、入れる価値があります。そうでなければ、1本の中で数秒あれば十分です。空からの映像では、働く人の顔は見えません。
Q. 盛りすぎかどうかは、どう判断すればいいですか?
公開前に、映っていない社員さんに見てもらうのがいちばん確実です。「これ、うちの会社?」と言われたら盛りすぎ、「うちだね。ちょっとかっこいいけど」なら、ちょうどいいところです。
まとめ: 「うちの会社の、いちばんいい顔」を1つ書き出す
かっこいい動画を作る前に、1つだけやってみてください。 「うちの会社で、いちばんかっこいいと思う瞬間」を、紙に1行で書き出すことです。 その1行に人が出てくるなら、それがそのまま撮るべき場面です。 建物や設備しか出てこなければ、そこで働く誰の瞬間なのかを、もう一歩だけ考えてみてください。 成果の出た動画の共通点は採用動画の成功事例に共通する5つのことにもまとめています。
文: 株式会社Atacama 代表取締役 阪口直哉(採用プラットフォーム出身。マーケティング・営業を経て映像制作へ)
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