COLUMN — AI×動画制作
テロップの自動生成、
AIにどこまで任せる?
縦型動画で分かった分担
2026.10.24 / 株式会社Atacama
AIで作った縦書きのテロップを、参考にいただいた動画の1コマと並べてみたら、文字の大きさが6割ほどしかありませんでした。 雰囲気は似せたつもりでしたが、数字を測っていなかったのです。 テロップの自動生成は、ここ1年でぐっと身近になりました。ただ、実際にやってみると「任せていい所」と「人が測る所」がはっきり分かれます。
結論から言うと、文字起こし・タイミング合わせ・量産はAIに任せられます。文字の大きさ・区切り方・書体は人が決めます。 そして人が決める部分を、先に数字にしておくと、AIの速さがそのまま生きます。 この記事では、アウトドアイベントの告知用に作った縦型動画(テロップ28本)の実例をもとに、その分け方をまとめます。少し専門的な話も入りますが、なるべく平易に書きます。
テロップの自動生成ツールは、いま何ができる?
最近話題になったのが、GitHubで公開されているvideo-useという無料の道具です(2026年10月時点でスターは約3万)。 素材のフォルダを渡してAIに頼むと、「えーと」などの言いよどみと間を切り、切れ目に30ミリ秒の音のフェードをかけ、字幕を映像に焼き込むところまで進めてくれます。 Claude Codeのような、パソコンの中で作業できるAIから使う作りです。
説明書きを読むと、日本の企業がそのまま使うには気をつけたい点が2つあります。 1つは、文字起こしのために音声をElevenLabsという外部のサービスに送ること。 もう1つは、字幕の初期設定が「英語を2語ずつ、大文字で」出す形になっていることです。日本語は単語の区切りに空白がないので、区切り方は自分で決め直す必要があります。
編集ソフトの側にも、自動字幕はあります。 当社が使っているDaVinci Resolve Studio(有償版)には、音声から字幕を作る機能があり、Blackmagic Designの案内では日本語にも対応しています。 ただ、どの道具を使っても出てくるのは「時間つきの文字」までです。それを読みやすいテロップにする部分は、まだ人の仕事だと感じています。
当社では、どうつないでいる?
冒頭の縦型動画は、1080×1920の縦長、尺は46.5秒、ナレーションに合わせた縦書きのテロップが28本です。 DaVinci ResolveとAI(Claude Code)をつなぎ、次の順番で作りました。
まず、タイムラインに並んだナレーションの音声を、並び順のまま1本の音声ファイルに組み直します。 こうしておくと、文字起こしで出てきた秒数が、そのまま編集画面の秒数になります。 次に、手元のMacで文字起こしをして、誤変換をAIに直させます。イベント名や地名、出演者の名前のような固有名詞は、先にリストで渡しておくのがコツです。
直した文字を「何秒から何秒まで、何と出すか」の表にしたら、そこから1行ずつ、背景が透明な画像を作ります。 それを尺ぴったりの透明部分つき動画(ProRes 4444という形式)にして、1行1クリップずつタイムラインに並べます。 1本にまとめず分けておくのは、あとから1行だけ前後にずらせるようにするためです。 文言を直したいときは、表を直して作り直すだけで済みます。
AIに任せた作業、人が決めた作業は?
分け方の基準は、「正解が音声の中にあるものはAI、見た人の読みやすさで決まるものは人」です。
| 作業 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 文字起こし・秒数の割り出し | AI(手元のMac) | 答えが音声の中にある。人がやると一番時間がかかる |
| 誤変換の修正 | AI+人の確認 | 固有名詞のリストがあれば、ほぼAIで直る。最後に人が読む |
| どこで区切るか | 人 | 縦書きは1列に収まる長さで、ナレーションの息つぎに合わせて切る |
| 文字の大きさ・太さ・位置 | 人(お手本から実測) | 雰囲気で決めると外れる。数字で決める |
| 画像・動画の量産と配置 | AI | 28本でも同じ手順の繰り返し。人がやると打ち間違いが出る |
冒頭の「6割」は、この表の4行目を飛ばした結果です。 参考動画は横幅1080に換算すると1文字が約90ピクセル、1列で、細めの書体でした。 最初に作ったものは1文字56ピクセル、2列、太め。目で見て「近い」と思っても、並べて測ると別物でした。 いまは、参考動画の1コマと自分のテロップを同じ縮尺で並べて、大きさ・列の数・太さ・位置を測ってから作り始めています。
速さは、どれくらい違う?
同じ28本のテロップを、2つのやり方で作って時間を測りました(M4 Max搭載のMac)。 1つはDaVinci Resolveの中の文字ツール(Text+)をAIから直接作る方法、もう1つはWebページの技術(HTML)で画像を作ってから動画にする方法です。
| 作業 | Resolveの文字ツール | HTMLで作って動画化 |
|---|---|---|
| テロップ28本を作る | 0.34秒 | 画像3.9秒+動画化10.8秒 |
| タイムラインに置く | 0.1秒未満 | 0.1秒未満 |
| 向いているもの | 文字だけのテロップ | ロゴや図、凝った文字組み、動き |
数字だけ見るとResolveが圧勝ですが、どちらも十数秒以内です。 本当に時間を食うのは、見た目を確認して直す往復のほうでした。1往復で1〜2分かかり、それが何十回と重なります。 だから、先に大きさや区切りを数字で決めておくことが、そのまま時短になります。AIに任せる前の「決めごと」が、いちばん効く工程です。
やってみて、どこでつまずいた?
エラーが出ずに、見た目だけおかしくなる種類の失敗が多くありました。同じことをやる方の参考になればうれしいです。
| 起きたこと | 原因 | いまの対処 |
|---|---|---|
| 縦書きの数字が横に倒れて重なった | 半角数字は縦書きでも横向きのまま並ぶ | 全角数字に変えて、1字ずつ立てる |
| タイトルを1つ入れたら、全部の素材が150コマずれた | その命令が「挿入」で、後ろを全部押し出す動きだった | 取り消しの削除で元に戻し、テロップは別の方法で置く |
| 指定した書体が出ない | Resolveの文字ツールは、Macに入っている書体しか使えない | 書体を先にMacへ入れてから作る |
| テロップが小さく、参考動画と雰囲気が違う | 数字を測らず、雰囲気だけ写した | 参考動画と並べて実測してから作る |
もう1つ学んだのは、参考動画は最初に全編を見て、場面ごとの「型」を一覧にしておくことです。 縦書きテロップの型だけ写して、日付の見せ方やタイトルの出し方、文字のかすれ具合を落としてしまい、作り直しになりました。 AIは指示した範囲は速く正確にこなしますが、指示していない部分は拾ってくれません。
声・顔・書体の権利は、どこに気をつける?
まず音声です。社員インタビューの音声には、本人の声だけでなく、社内の話も入っています。 外部の文字起こしサービスに送るなら、どこに送られ、どう扱われるのかを、そのサービスの規約で確かめてください。 当社では文字起こしを手元のMacで行い、AIに渡すのは文字のデータだけにしています。 出演する社員の方には、編集の途中でAIを使うことも、撮影前に説明しておくと安心です。顔の扱いの考え方は実写×AIの動画制作にまとめています。
次に書体です。テロップに使う書体にも、使ってよい範囲があります。 Googleが配布している書体は、Google FontsのFAQで、商用利用も、動画や印刷を含むあらゆる用途での利用もできると案内されています(2026年10月時点)。 有料の書体は、動画への利用や、取引先への納品が許可の範囲に入っているかを、買う前に確認してください。 BGMを含めた音の権利は動画のBGMと著作権で詳しく書いています。
採用や広報の動画では、どこから使える?
効果が出やすいのは、同じ型のテロップを何十本も打つ動画です。 話している言葉をほぼ全部出すSNS向けのショートや、ナレーションに合わせて文字を出す紹介動画がそうです。 型さえ決まれば、2本目からはほとんどAIの作業になります。ショートを続ける体制の考え方はSNSショート動画100本でわかったことにまとめています。
一方で、採用サイトに置くインタビュー動画のように、要点だけを短く出すテロップは、どの言葉を残すかの判断が中心です。 ここはAIに候補を出させて、人が選ぶくらいがちょうどいいと感じています。 置き場所によるテロップ量の違いはインタビュー動画の編集で、カットの自動化はDaVinci Resolve×Claudeで動画編集を自動化で書いています。
費用はどのくらい?
当社の価格です。すべて税別で、交通費は実費のみ別途です。 AIを使う工程があっても、料金の考え方は変わりません。
- 5万円〜 — 撮影済み素材の編集、シンプルなショート動画
- 20万円〜 — 撮影から編集まで(ライトプラン)
- 35万円〜 — 会社紹介動画など(スタンダードプラン)
「撮った素材はあるけれど、テロップ入れに手が回らない」「ショートを続けたいけれど、毎回の字幕が重い」というご相談も受けています。 ぜひ一度お問い合わせください。費用の内訳は採用動画の費用相場で詳しく書いています。
よくある質問
Q. 無料のツールでもテロップは自動で作れますか?
作れます。ただ、日本語の区切り方や書体、文字の大きさまで整えてくれるものは多くありません。自動で出てきた字幕は「下書き」と考えて、区切りと大きさは人が整える前提で使うのが現実的です。
Q. DaVinci Resolveの無料版で自動字幕は使えますか?
音声から字幕を作る機能は、有償版のDaVinci Resolve Studioの機能として案内されています。日本語にも対応しています。2026年10月時点の情報なので、導入前に最新の案内を確認してください。
Q. 社員インタビューの音声を、AIの文字起こしサービスに送っても大丈夫ですか?
送る前に、送り先のサービスと、そのデータの扱いを確認してください。当社では文字起こしを手元のパソコンで行い、音声そのものは外のサービスに送らない形にしています。出演する社員の方には、編集でAIを使うことも撮影前に説明しています。
まとめ: お手本の1コマを決めて、文字を測っておく
テロップをAIで作るなら、ツールを選ぶより先に、「こういう見え方にしたい」というお手本の動画を1本決めて、その1コマの文字の大きさを測っておいてください。 そこが決まれば、あとの量産はAIがかなりの速さでこなしてくれます。 当社でも、まさにその面倒な最初の決めごとから一緒に考えています。お気軽にご相談ください。
文: 株式会社Atacama 代表取締役 阪口直哉(採用プラットフォーム出身。マーケティング・営業を経て映像制作へ)
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