COLUMN — 採用動画のトレンド
採用動画のトレンド【2026年版】
調査データと現場の4つの変化
2026.09.16 / 株式会社Atacama
去年までの打ち合わせでいちばん多かった質問は、「採用動画って、本当にいるんですか?」でした。 今年に入ってから、その質問をほとんど聞かなくなりました。 代わりに増えたのが「どんな動画にすればいいですか?」です。
2026年の採用動画のトレンドをひとことで言うと、 論点が「作るかどうか」から「何を、どの長さで、どこに置くか」に移ったことです。 求職者333名の調査データと合わせて、当社が商談で実際に感じている4つの変化をご紹介します。 流行の演出を追いかける話ではなく、来年も使える判断の軸として読んでいただけたらうれしいです。
2026年、採用動画の「当たり前」はどこまで進んだ?
まず数字から見てみます。 株式会社moovyが2026年5月に行った調査(直近1年で就職・転職を経験し、採用動画を見たことがある20〜40代333名)では、 採用動画がない企業に対して約95%の人が何らかのネガティブな印象を持つと答えています。 「特に気にならない」は4.8%だけでした (出典: 株式会社moovy「採用動画トレンド調査2026」PR TIMES)。
年代で見ると、20代は97%、40代でも89%です。 そして、条件が同じ2社で迷ったとき、 87.7%が「採用動画の有無や質が最終判断に影響する」と答えています。 動画は「あると好印象」の段階を過ぎて、「ないと比べてもらえない」段階に入りました。
ただし、これは全国の平均の話です。 当社が営業で回っている大阪・西日本の中小企業では、まだ動画のない会社のほうが多い実感があります。 大手はほぼ出そろい、中小はこれから。この差については 採用動画は中小企業こそ効くで詳しく書いています。 裏を返せば、いま作れば同業の中で目立てる地域だということです。
いま求職者が見たい採用動画は、どの種類?
同じ調査で「動画で見たい内容」を聞いた結果が、少し意外でした。 仕事紹介・やりがい28.2%、1日の流れ27.6%、職場の雰囲気27.0%、求める人物像27.0%、オフィスツアー26.1%。 ほぼ横並びです。 つまり「この種類の動画が勝ち」という答えはなく、求職者は入社後の自分を想像できる材料なら何でも見たい、ということだと受け取っています。
もうひとつ、動画を見て志望度が上がった理由の上位4つは、 企業への親近感36.5%、社員の人柄34.2%、入社後のイメージ32.3%、職場の雰囲気31.2%。 全部「人」と「空気」です。 事業の説明や社長の理念は、それ自体では志望度を動かしていません。 この2つの結果を踏まえて、採用動画の主な種類と向いている場面を整理するとこうなります。
| 種類 | 向いている場面 | 伝わりやすいもの |
|---|---|---|
| 会社紹介動画 | 採用サイトの入口、合同説明会 | 事業の全体像、会社の方向性 |
| 社員インタビュー | 応募を迷っている段階 | 社員の人柄、入社の理由 |
| 一日密着 | 選考中、内定後 | 仕事の実態、職場の空気、1日の流れ |
| ショート(縦型) | SNSでの認知、まだ知らない人向け | 雰囲気の断片、親近感 |
| アニメーション | 事業の仕組みや数字の説明、現場を映せない会社 | 構造、制度、数字 |
「採用動画 アニメーション」で調べる方も増えていますが、表のとおり得意分野がはっきり分かれています。 機密で現場を映せない会社の事業説明には向く一方、人柄と空気は実写でないと伝わりません。 当社では、現場を映せない場合でも、社員の表情や休憩室は実写で撮り、映せない部分だけを補う作り方をおすすめしています (実写×AIの動画制作)。
変化①: 「かっこいい」より「盛らない」を求める会社が増えた
いちばん大きい変化はこれです。 2年ほど前まで、打ち合わせの最初に出てくる言葉は「かっこいい動画にしたい」でした。 いまは「盛りたくないんです」「きれいすぎる動画は逆に信用されない気がして」と、社長のほうから言われることが増えました。
理由は、求職者が入社前に会社を徹底的に調べるようになったからです。 口コミサイトもSNSもある中で、動画だけがきれいだと、そこだけ浮きます。 上で見たとおり、志望度を動かしているのは「人」と「空気」であって、映像の美しさではありません。
当社が密着した大阪の造園会社様の動画は、夏の炎天下や体力的にきつい工程をそのまま映した一日密着でした。 結果は、応募がそれまでの1.6倍。 何が共通すると応募につながるのかは、 採用動画の成功事例に共通する5つのことにまとめています。 「かっこいい」を否定するわけではなく、順番の問題です。 本当のところが映っていて、その上で画がきれいなら、それがいちばん強い。
変化②: 縦型ショートは「入口」、長尺は「決め手」に役割が分かれた
「採用動画 縦型」という検索が増えていて、ショート動画への関心が高いのは間違いありません。 ただ、ショートを作れば長尺がいらなくなる、という話ではありませんでした。
調査には、動画の長さを企業への関心度別に聞いた設問があります。 まだ知らない企業なら「30秒以上1分未満」が43.8%で最多。 志望度が高い企業なら「1分以上」が42.0%で最多。 同じ人でも、相手の会社をどれだけ知っているかで、見たい長さが変わります。
当社の解釈はこうです。 ショートは知らない人に見つけてもらう入口で、長尺は応募を決める前に確かめる材料。 1本で両方は担えません。 実際、採用動画が見られるタイミングとして最も多いのは「比較検討段階」の61.0%で、 応募直前に3分の本編をじっくり見る人が一番多いのです。
だから当社では、ショートと本編を別々の日に撮らず、同じ撮影日で両方の素材を押さえる進め方をよくします。 月1回の半日撮影で8〜10本のショートをためて週2〜3本配信する運用と、 3分の本編を1本作る制作は、素材が共通なので同時にやるほうが安く済みます。 ショートの始め方は採用ショート動画の始め方に書きました。
変化③: 「出てくれる人がいない」相談が、断る理由ではなくなった
採用動画の相談で一番多い断念理由は、予算ではなく人です。 「出てほしい子が、来年いるかわからない」「出たがる社員がいない」。 これは去年も今年も変わっていません。
変わったのは、その先です。 以前は限定公開か、後ろ姿と手元で構成するかの2択でした (社員が顔出しを嫌がるときの3つの始め方)。 2026年はそこに、実写のまま顔の造作だけをAIで少し変える方法が加わりました。 本人の動きも声も残るので、動画の空気はそのままで、退職しても下げなくていい。 打ち合わせでこの提案をすると、「それなら」と話が前に進むことが増えています。
ひとつだけ注意点があります。 YouTubeは実在の人物を改変したリアルな映像に、投稿時の開示を求めています。 当社は開示する前提で作っていて、その理由も含めて 実写×AIの動画制作で詳しく書いています。
変化④: 「面白い採用動画」を狙う会社と、狙わない会社に分かれた
「採用動画 面白い」もよく検索される言葉です。 バズった採用動画の話題を見て、「うちもああいうのを」と言われることは確かにあります。
当社の考えは、面白さは入口(ショート)では効く。決め手(本編)では要らないです。 知らない会社の動画が指を止めてもらえるのは面白いからで、これはSNSでは大事な要素です。 一方で、応募直前の比較検討段階で見る本編に求められているのは、上で見たとおり人柄と空気と1日の流れ。 ここで笑いを取りにいくと、「で、仕事は何をするの?」が残ります。
面白さを狙って外したとき、いちばん困るのは社内です。 「これ、うちの会社として出していいの?」となって、結局使われない。 当社では、面白さを狙うならショートで小さく試し、反応が出た切り口だけ本編に混ぜる順番を提案しています。 最初から本編で勝負しないほうが、外したときの傷が浅くて済みます。
追わなくていいトレンドと、追ったほうがいいトレンドは?
ここまでを整理します。 追わなくていいのは、演出の流行です。 テロップの動かし方、カットのテンポ、流行りのBGM、機材のスペック。 これらは来年には変わりますし、求職者の志望度を動かしている要因には入っていません。
追ったほうがいいのは、求職者が見る場所と、見るタイミングです。 見る場所はスマホの縦画面。見るタイミングは応募の直前。 この2つは演出より変わりにくく、ここに動画がないと、どれだけよくできた動画でも見られません。 「採用サイトの奥に置いたきりで、誰も見ていない」という会社は本当に多いです。
2026年の採用動画、費用はどのくらい?
採用動画の一般的な相場は30万〜120万円(税別)です。 ここは大きく変わっていません。 変わったのは、上で書いたようにショートと本編を同じ撮影日でまとめて作る会社が増えたことで、 1本あたりの単価は下がりやすくなっています。
当社の料金は、ショート・素材編集5万円〜、ライト15万円〜、スタンダード35万〜70万円、プレミア60万円〜(いずれも税別)です。 相場の内訳と抑え方は採用動画の費用相場に書いています。 「うちの場合、ショートと本編を両方やるといくらになる?」という組み合わせのご相談が増えていますので、ぜひ一度お問い合わせください。
よくある質問
Q. トレンドに合った動画を作れば、応募は増えますか?
演出の流行に合わせただけでは増えません。増えるのは、求職者が見る場所とタイミングに動画が置かれていて、働く自分を想像できる中身になっているときです。条件が同じ2社で迷ったとき、87.7%が動画の有無や質が最終判断に影響すると答えている、というのが2026年の現在地です。
Q. アニメーションの採用動画は流行っていますか?
検索は増えていますが、向き不向きがはっきりしています。事業の仕組みや数字の説明、機密で現場を映せない会社には向きます。人柄と空気を伝えるのは実写の役割なので、アニメーションだけで完結させるのはおすすめしません。
Q. 2026年に作った動画は、何年くらい使えますか?
寿命を決めるのは演出の古さではなく、出演者の退職と制度の変更です。数字が出る場面は差し替えできる作りにしておき、出演者は承諾書で退職後の扱いを先に決めておくと、作り直しの回数を減らせます。
まとめ: 自社の採用ページに、いま何の動画があるかを見る
トレンドを一通り見てきましたが、最初にやることは1つです。 自社の採用ページをスマホで開いて、動画があるか、あるならそれは「知らない人向け」なのか「応募を迷っている人向け」なのかを確かめてみてください。 何もなければ、比較検討段階の人が見る3分の本編から。 本編があるなら、それを見つけてもらうためのショートから。 どちらから始めるかが決まれば、あとは撮影日を決めるだけです。 この記事は毎年の調査に合わせて更新していきます。
文: 株式会社Atacama 代表取締役 阪口直哉(採用プラットフォーム出身。マーケティング・営業を経て映像制作へ)
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